• 2016年 GW うちなー旅行記

    島渡る ルート58

  • はじめに

    ルート58(国道58号線)と聞いて直ぐ沖縄を連想する方は、かなり沖縄病が進行しているかもしれない(笑)。この国道は鹿児島市を起点として沖縄県の那覇市に至る、全国的にも珍しい島渡る街道である。私は、今年(2016年)のGWに行った沖縄旅行を、この国道58号に絡めて書いてみたいと思います。お時間の有る方は、暫しお付き合い下さい。

     

    最近FBを見ていると、私が大学を出て入社した当時の同期の連中や、先輩方は皆、定年間近で余裕が出て来たのか、山登りやら、温泉やら、釣りやらの記事が目立つ。同期の奴が沖縄をサイクリングしてる記事を見て、「俺も定年になったら行くぞ」なんてコメントしたりしたが、今年(2016年)のGWのカレンダーを見ればなんと10連休ではないか!幸い一人娘の大学も決まったし、もう定年まで待っていられない!
    私の自宅(神戸市内)から沖縄へ行くには、普通は当然飛行機を利用する。しかし、今回はマイ自転車を持って行かねばならない。もちろん然るべく梱包してあれば航空会社は預け荷物として受託してくれるのだが、それなりに気をつかうのが面倒だったのと、時間があれば一度鹿児島から船で海を渡って沖縄へ行ってみたいと思っていた。若い頃スクーバダイビングをしていた時、小笠原諸島の父島を始め、何回か船旅を経験しているが、大海原から忽然と現われる島影を見るのは、都度不思議な感慨を覚えた様に思う。

     

  • 旅立ち

    当初、新神戸ー鹿児島中央の新幹線を予約してあったのだが、なんと先の熊本の震災で不通になってしまったので、一度は諦めて神戸駅のみどりの窓口へキャンセルしに行った。ところが窓口のお姉さんに尋ねると、乗車券は大分、宮崎を経由した在来線のルートでそのまま振替輸送の手続きをしてくれる、と言う。調べると、4回乗り換えがあるが、なんとかフェリーの出航時間に間に合う。ならもう行くっきゃねーだろ!こうして鉄道とフェリーを乗り継いで鉄道とフェリーを乗り継いでの沖縄まで1400Kmの旅が実現することに相成った。飛行機で2時間で行ける所へまる2日間かけて行くのである、しかも交通費も倍以上必要だ。何という物好きな。

    フェリー乗り場は連休初日なので大混雑。見ていると、乗客の大半は途中寄港する奄美、徳之島、沖永良部島、与論島へGWに帰省する島の人達だ。滑り込みで自分の席を確保し、デッキへ出ると、今日は素晴らしい快晴。桜島が出船を見送ってくれた。

    フェリーは鹿児島新港を 18:00に出航し、沖縄の本部港に翌日の16:40に到着する。2日目も快晴だったので、フェリーの後甲板で思う存分海三線をして過ごした。三線を持っていると、いろいろな人に声を掛けられた。楽器をきっかけに話しがし易くなるようだ。6カ月かけて日本全国を回っているというカナダから来た女性、定年退職後に仲間で大型バイクでツーリングしているオヤジさん達、船室から「沖縄の音楽が聞こえるから」と言ってデッキまでわざわざ出て来たオバーがいたのには恐縮してしまった。「あっ、聞こえちゃいましたか?ごめんなさい、」と言うと、「いいよ〜みんな喜ぶサ〜」と言って下さったのにはチョッと感激した。寄港した島々の中では、与論島の海の色が抜群に美しかったが、私が見とれていると、40代の一人旅とおぼしき女性が話しかけて来て(ありえねーだろ〜三線のお陰さ)、僕の下手クソな唄三線を聞いていたそうで、子供が大学生になって一段落してとか、奄美だって海綺麗でしょうとか、奄美も三線弾く方いますよね〜とか、何のかんの20分近く話し込んでしまった。女性は那覇に向かわれるそうで、本部港でお別れしたが、チョッとだけ心残りであった。

    夜半、目が覚めてデッキに出て見ると、欠けてはいるが月がベタ凪の海面を照らして、船が滑る様に進んで行く。上空には無数の星。。
    もう10年以上前になるだろうか、家族旅行で沖縄本島のリゾートホテルに泊まり、夕食後泡盛を飲んで酔い潰れ、夜半喉が渇いて目覚めると、私は息を呑んだ。窓の向こうには満月が登り、月光が海一面に銀色にきらめいている。それは神々しいと言う表現が相応しく、しばし立ち尽くしていた。私は東京の下町の生まれで、子供時代には星空など見たことがなく、月の光があんな明るいものであることも知らなかった。その時だった、「唄しゃたぬ夜が更け、踊しゃたぬ夜が更け、てぃだぬ上がるまで舞遊ば」というビギンの「イラヨイ月夜浜」の一節が思い出され、そうか、こんな月夜に日が昇るまで唄い踊り続ける人々のことを唄っているのだと理解して、不思議な感動を覚えた。

    2日目に沖縄本部港に上陸した時はもう夕方になっていたので、ネットで予約して置いた港から比較的近い街中の古ぼけた民宿に投宿した。この町に住んでいる沖縄のFB友達に連絡が付いて、もう夜の9時だというのに会いに来てくれるという(流石ウチナータイム!)。海岸に出て話し込んでいたらあっと言う間に夜半になってしまった。

    今回の自転車ツーリングは、フェリーを下船した本部町から、国道58号の沖縄県内の起点である辺戸岬までを逆にたどることになる。片道約60kmなので、健脚なサイクリストであれば早朝から走り出せば余裕で日帰り可能だが、私はいかんせん夏場に気が向いた時チョコッと乗るだけで、しかも愛車は街乗り用の20インチの小径車だから(最近は颯爽と走るロードレーサーをよく見かけるが、あれは大体27インチ)巡行速度は遅い。
    沖縄県は圧倒的な車社会(なんせ鉄道はゆいレールのみ)なのだが、メインルートである58号線と言えども、名護市を抜けて国頭(くにがみ)村へ入って行くと、さすがに交通量が減って、沖縄本島の西海岸をのんびりと、波の音を聞きながら快適なサイクリングができる。ただ、最後の道の駅を過ぎた辺りから、徐々に人家も疎らになり、コンビニも無いので、昼食を取るタイミングには注意が必要だ。
    写真をご覧になれば分かるが、辺戸岬というところは沖縄の海岸には珍しく雄大な断崖絶壁で、つまり、このツーリングでは最後の最後で急な上り坂が現われる。国道には新しいトンネルが通っていて山登りをパスすることもできるのだが、私は自転車でトンネルを走るのは怖いので、手前で北国小学校方面へ登って行く旧道を通った(入り口に看板がある)。

    私が習っている唄三線の課題曲の一つに「娘ジントヨー」という歌がある。

    奥の山々で お茶を摘む頃はよ
    与論なつかしや ジントヨ
    辺土の岬よ

    この歌を習っていたので、何となく行って見たくなった、というのが本当かも知れない(笑)。当日も好天だったのだが、残念なことに水平線辺りが靄っていて、与論島の島影を見ることはできなかった。

    さて、ルート58に戻るが、58号線の起点は実は辺戸岬ではない。岬から5kmほどさらに先の、「奥」という集落にあるのである。岬から集落までの道がとんでもない道で、かなりキツイ峠をもう一つ超えないと行けないのである(ルート58に興味が無い方は辺戸岬観光だけされて引き返すようおすすめする)。

    私は娘ジントヨーを最初に聴いた時、単に山奥で出稼ぎの女性が茶摘みをしているという歌と思ったのだが、実は「奥」というのは地名で、本当に茶畑もあった。一寸感動した(笑)。
    ジントヨーがどんな歌か興味がある方は私の動画をご覧になって見て下さい(下手くそなんで恐縮ですが)。
    58号線の起点に辿り着いたのはもう午後の遅い時間であったので、その起点のすぐ裏手にあるこの近辺唯一の宿泊施設である民宿に投宿した。

    翌日、今度は58号の起点から出発してまた本部町へと走った。好天が続き、帰りも快適なサイクリングであった。
    本部町に戻ると、帰りのフェリーに乗るまで3日間あまり、チープなゲストハウスに泊まって本部町と隣村の今帰仁(なきじん)村近辺でノンビリと過ごした(用は自転車の行動範囲内)。
    本部町は美ら海水族館が有るので有名観光地の一つなのだろうが、もう一つここは小さな町の割には沖縄そばのお店が沢山あって、特に公設市場の近所の有名店なぞは午後1時をかなり回っても凄い行列だが、フツーに地元の方が行っているそば店でも十分美味で満足できる。
    隣村の今帰仁村は「何も無い」ことを逆にウリにしている(村がつくったPVがYouTubeで公開されているが、これがなかなか面白いのです)のだが、村と橋で繋がっている古宇利島始め綺麗な海岸が随所にあり、世界遺産である今帰仁城跡もあり、実に良い所である。

    楽しい時は呆気なく過ぎる。。

    バイバイ沖縄 (作詞・作曲:知名 定男)
    御無礼(グブリー)さびたん 又 やーさい
    島尻 中頭 山原とう 海の青さに空の青
    思い出 沖縄の旅
    バイバイ沖縄 バイバイ沖縄
    又ハーリヌツンダラヨ

    沖縄に詳しい方はご存知だろうが、島尻 中頭 山原 というのは、沖縄本島の南部、中部、北部の呼び名である。私が今回旅したのは山原(やんばる)ということになるが、沖縄本島もまだまだ良い所が各所にあるなあと改めて思った次第である。では、又 やーさい。
    最後までお付き合い下さり、有難うございました。

  • 附録

    本文中に入りきらなかった内容をご紹介します。

    沖縄島唄「娘ジントヨー」

    私の唄三線(さんしん)練習風景

    チョー恥ずかしい動画です。パスしていただいて結構です。

    今帰仁(なきじん)ベンチ

    今帰仁村のPV

    村が学生さんにアイデアを募って、俳優さんを起用してドラマ仕立てで制作したPVです。

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